食器棚との出会い

私が、この食器棚「フリッター」と出会ったのは1995年のことです。結婚に合わせて探したのですが、夫婦ともに一人暮らしをしていたのでいろいろと新しい家具を揃えるつもりはなく、ひとつだけなにか新しい家具を、と思ったのでした。
探すときの基準は、ごくシンプルでした。「これから先、何十年と愛着をもって使いこなしていけるような物を」そして、「使い勝手のよい物を」。「使い勝手」については、引き戸であること、段数が細かく調整できること、をメインに考えました。けれども、そのシンプルな基準で満足できる物は少なくて、ある百貨店でようやく出会ったのが、このフリッターでした。
それ以来、2度の引越しにも耐え、造作が狂うこともなく快適に使っています。およそ10年のあいだに、食器道楽で数々の食器が入れ替わりし、家族も増えましたが、いつもその時その時の家や食器の使い方にフレキシブルに対応してくれる、懐の深さを感じます。
よく使う引き出しの取ってがややはげてきたり、物を落として傷がついていたりしているのも、この10年のお付き合いを感じさせて、私としてはますます愛着を覚えるのです。
きっと、私たち夫婦がまた二人きりの生活に戻るずっと先にも、二人でお酒を飲んでいる食卓の傍らに、この食器棚が並んでいてくれるでしょう。

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